大判例

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名古屋高等裁判所 昭和32年(う)494号・昭32年(う)496号・昭32年(う)495号 判決

次に、職権をもつて、被告人松田巌に対する累犯前科の点を調べて見るに、前記訴訟記録中の名古屋地方検察庁検事の同松田巌に対する前科調嘱託書と題する書面に対する同地方検察庁岡崎支部検事の回答書と題する書面、および同地方検察庁検事の名古屋地方裁判所宛の刑執行指揮通知書によれば、被告人松田巌は(一)、昭和二十四年二月五日名古屋地方裁判所岡崎支部において殺人未遂、銃砲等所持禁止令違反罪により懲役四年に処せられ、昭和二十七年二月五日仮出獄したが、同年四月二十八日政令第百十八号減刑令によりその刑を懲役三年に減軽せられてその刑の執行を受け終り、(二)、昭和二十七年十二月十五日同裁判所において、傷害罪により懲役五月に処せられ、昭和三十一年十一月二十九日から右刑の執行を受け始めたことが明らかである。したがつて、昭和三十年十月二十八日行われた本件犯行は、前記(一)の前科の刑の執行が終つてから五年内に行われたもので、この前科と累犯の関係にあることは明らかであるが、前記(二)の前科は、本件犯行当時いまだその刑の執行すら始まつていなかつたことが明らかであるから本件犯行と累犯の関係にはないのである。しかるに原判決は、前記(一)の累犯前科を看過し、累犯前科でない前記(二)の前科を理由として本件について累犯加重したことは、法律の適用を誤つた違法があるが、本件はけつきよく、累犯加重をしなければならない場合であるから、右の誤りは判決に影響を及ぼさないものと認める。

(裁判長裁判官 影山正雄 裁判官 坂本収二 裁判官 水島亀松)

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